何が起こるのかありったけの想像力で予測する
将来の予測を立てるのはとても難しいことであるが、予測すること自体は意味があるものだと思う。間違っていたら後で検証できるし、想像した通りだったらその時の予想の立て方は見誤っていなかったのだと振り返ることができる。
さて、早速本題である。
今の生成AIの進化は凄まじく、体感的に一年で人間の10倍以上は進化していると思う。
このスピードは人類が未だかつて経験したことがないものであり、進化のスピードは衰える兆しを見せていない。
このスピードでいけば、今年中にも生成AIが汎用知能にまで上り詰める可能性もある。
その段階に行ったとき、世の中で完全にAIによって置き換わるもの、あるいは完全に置き換わらないが補完されるもの、逆に人間主体として生き残り続けるものは何か、を自然に想像するようになる。
分野上、情報科学の中のエンジニアリングに的を絞っていく。
なお、以下の記事を参考に予想したり、解釈を広げたりしている。(とても興味深いので是非読んでほしい)
生成AIの進化でウェブ制作会社が消える可能性があるという話
従来よりも価値が大幅に下がるもの、または完全に置き換わるもの
新規Webページの作成
HTMLページやJavaScriptを使った動的コンテンツの作成、コンテンツのデータベースへの表示、編集、登録、削除操作のプログラミングは価値が大幅に下がる、もしくはほとんどが人工知能に置き換わる可能性が高いと予測する。(これは参考記事の内容に近い)
現時点ではAIがプロンプトに沿ってソースコードを例示し、人間がコピーして使う、といった部分にとどまっているが、人間の意図を汲んで細かい整形や調整まで人工知能が担うだろうと思う。
そうなるとこの世界で生き残るのは目を見張るような優れた成果物を算出できるごくわずかな製作者だけが生き残る具合になりそうである。
既存のコードベースからの新機能開発
新しい機能を作成するというのも、従来よりも単純な作業になる。
すでに現状の生成AIで単一モジュールの生成はAI側で自走できている場面にたびたび出くわしている。
あとは人間がモジュール同士を繋ぎ、必要な知識で簡単に組み立てるだけである。
作業の難易度が相対的に下がるので、誰でもできるようになる。
計画を立てる必要がない類のリファクタリング
計画を立てる必要のない類のリファクタリングも人工知能によって置き換えられる部分ではある。
例えば単一モジュールのリファクタリングは既にAIに任せても問題ない。
(複数モジュールや依存関係を考慮したリファクタリングになると精度が下がるが。)
一方で中規模~大規模なリファクタリングやリライト、システムリプレースなど「計画」が必要なものは少なくともプログラミングを含め、この10年は低いと見ている。全体のコードベースを俯瞰しつつ、依存関係を段階的に解決し、予算と期限内に収め、判断を適宜行うのは開発者とビジネスを行う人間同士の介入がどうしても必要になるからである。
(いくら人工知能が進化しても計画もないまま闇雲にコードベースを置き換えることはないし、予算も限られている。)
従来よりも価値がそこまで下がらないもの
人工知能が汎用知能として2025年に台頭することになっても、2000年代からの既存のIT資産と膨大なコードベースが電子の海に鎮座している。既に作られたソースコードやソフトウェアの問題点を洗い出し、どのように改良し、実践に移していくかの実行力と確かな技術理解はこれからも必要になると思う。
そのほかにもAIそのものを開発する技術者、ハードウェアを設計し、組み立てるエンジニアはこれからも台頭すると予想する。
とはいえ、これらは市場として特殊な分野である。
ごく普通のエンジニアは既存の大規模なリファクタリングの計画力、実行力、判断力、裏付けとなる技術知識に磨きをかけていく方が良さそうである。